2020年度中央最賃目安引き上げ凍結を許さず、各地で地域間格差是正や最賃の大幅引き上げにむけ奮闘しよう(自治労連書記長談話)
2020年7月28日
書記長 前田 博史
厚生労働省の第57回中央最低賃金審議会は7月22日、2020年地域別最低賃金改定について、「地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった」として、改定の基礎となる目安額を示さない答申を厚生労働大臣に行った。
答申は「最低賃金引上げが雇用調整の契機とされることは避ける必要がある」として、使用者側委員の「凍結」要求を全面的に受け入れる一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の中で、住民生活を支え低賃金で働き続けているエッセンシャルワーカーなど多くの労働者・国民の実態や「賃金底上げ」「地域間格差解消」という切実な要求を顧みないもので到底許せるものではない。
コロナ危機の影響で最低賃金の引き上げが企業経営に与える影響を重視して引き上げを抑制すべきとの意見もあるが、低賃金に置かれている労働者の生活を支え、地域経済を活性化させるためには、最低賃金額の大幅引き上げと中小企業支援強化、地域間格差を解消する全国一律最低賃金制度の実現こそがいま求められている。
自治労連は、全労連の最賃1500円と全国一律最賃制の運動を積極的に受け止め、全国各地で最低生計費調査を行い、非正規公務公共関係労働者の均等待遇など賃金改善や処遇改善、公務員賃金改善、最賃引き上げ、公契約適正化など賃金改善に取り組んできた。こうした運動が自民党の最低賃金一元化推進議員連盟も含む野党の共同、日本弁護士連合会など多くの団体との共同を全国で広げてきた。
また、答申に「中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げしやすい環境整備の必要性」「生産性向上の支援や官公需における対応を含めた取引条件の改善等」「年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮」と付記したことは、長年にわたる私たちの運動の反映である。
この答申を受け、最低賃金改定審議の舞台は地方最低賃金審議会へと移る。中央最低賃金審議会目安小委員会の公益委員見解では、地方最低賃金審議会に「地域の経済・雇用の実態を見極め、地域間格差の縮小を求める意見も勘案しつつ、適切な審議が行われることを希望する」としており、今後の地方最低賃金審議会へむけたたたかいが重要となる。
コロナ危機だからこそ最賃の大幅引き上げが必要の宣伝を強め、各地で最賃引き上げの共同や運動を職場や地域からさらに広げ、2020年度中央最賃目安の凍結を許さず、地域間格差是正や各地で最賃の大幅引き上げを勝ちとるために奮闘するものである。
以上
自治労連のウェブサイト:2020年度中央最賃目安引き上げ凍結を許さず、各地で地域間格差是正や最賃の大幅引き上げにむけ奮闘しよう(談話)