北九の仲間(2021/8/17 No.1329)
今月号の記事
連載記事
2年連続の改定なし 国公初任給は最賃以下?
人事院は、8月10日国家公務員賃金について、月例給「改定なし」(官民格差△19円)、一時金0・15月の引き下げ勧告を行いました。特に、一時金は2年連続の引き下げであり、コロナ禍で頑張っている職員に報いる勧告となっていません。
初任給の改善なし
月例給については民間給与を19円上回っており較差が極めて小さいとして、改定は見送られました。しかし、調査結果では民間企業の高卒初任給は168,943円ですが、国家公務員の高卒初任給は150,600円と18,343円の差があります。また、今年の最賃は全国一律28円の引き上げの930円となりましたが、国家公務員の高卒初任給は最低賃金をさらに下回る結果となっています。早急な改善が必要です。
一時金の引き下げ
一時金の年間支給月数が民間企業を0・13月上回るとして、0・15月(4・45月を4・30月)再任用職員は0・10月(2・35月を2・25月)を期末手当から削減するとしています。会計年度任用職員も同様に削減される可能性があります。人事院総裁は談話で「厳しい環境の下、公務員各位に対し心から敬意を表します」と述べています。そうであれば一時金の削減勧告は行うべきではありません。
育児休業等の見直しに言及
男性職員による育児の促進や女性職員の活躍促進を更に進めるための方策の一つとして、育児休業の取得回数制限を緩和する意見の申し出、あわせて妊娠、出産、育児等と仕事の両立支援のため、人事院規則の改正等により、休暇の新設、休業等の取得要件の緩和等措置が言及されています。
必要な人員と処遇改善を求める
今職場では特にコロナに関する部署で多くの長時間・過密労働が行われ、休みも取れない状況です。課題を解決するためには、人員を確保するしかありません。
また、会計年度任用職員の休暇制度の改善も重要な課題です。
今後、北九州市でも人事委員会勧告が行われます。市職労は、すべての職員の生活改善が図れ働きがいのある職場づくりに向け秋季年末闘争を取り組みます。
2021 人事院勧告骨子
月例給 「改定なし」(△19円)
一時金 引下げ(0.15月)
北九州市の今を考える⑤(最終回) 商店街の衰退(市職労自治研部・是石喜文)
小売業と地域経済
これまで、北九州市において、既存の小規模・零細店が減少し、中規模店や大規模店
が増えていることをみてきた。
おわりに、小売業のこうした変容が、地域経済に及ぼす影響を考えてみる。
参考として、図-5に「消費者の消費行動と地域経済の関係」を示す。日本投資銀行・(株)価値総合研所著「地域経済循環分析の手法と実践」より抜粋したものである。
【図の説明】
消費者が同じ消費財を当該地域の地域商店街と大型SCで購入する場合を考える。こ
こでは地域商店街では5,000円で、大型SCでは4,000円で購入できるとする。消費者の合理的な行動では大型SCで購入することになるが、この行動が地域経済に及ぼす影響はどうであろうか。
(大型SCで購入) 大型SCで購入された財・サービスは全国規模の卸売会社からの購入を2,000円発生させるとともに、本社機能へ利益1,000円の送金もあって、当該地域に落ちる付加価値1,000円にとどまることになる。そして生産者には1,000円が帰着することになるが、多くの場合、生産者は当該地域外の場合が多い。
(商店街で購入) 地域商店街で購入した財・サービスは地域の卸売会社から4,000円で購入され、それは地元の生産者から3,000円で購入することになる。この場合には消費者が支払う5,000円のほぼ全てが当該地域に帰着することになり、地域経済から見ると、同じ財・サービスであれば、地域の商店街で購入した方が地域経済に貢献することになる。
(日本投資銀行・(株)価値総合研所著「地域経済循環分析の手法と実践」P 79 を要約)
仮のケースであるが、商業と地域経済の関係を考えるうえで参考になる。家計や企業の合理的な行動が、地域経済循環を毀損させる可能性を示唆している。
大規模小売店の出店は、地域内の雇用確保の下支えになるのかもしれない。しかし、既存の小売店の減少により、これまで地域に築かれた「生産者→卸売業→小売業→消費者」といった流通経路の縮小につながる。それとともに、資金の流れも地域内循環を弱め、大型店の系列による地域外への流出となる。地域内の
需要が地域外へ流出することで、既存の雇用や生産が減少し、市民所得が少なくなる。
北九州市の商業を考える場合には、消費者の利便性や小売業の近代化だけでなく、小売業の変容が地域経済に与える影響も考えなければならない。
(参考文献)日本投資政策銀行・株式会社価値総合研究所著「地域経済循環分析の手法と実践」北九州市「新修・北九州市史(市政編)」第2章、北九州市「北九州市商圏調査報告書」 (注意)経済産業省「商業統計調査」《立地環境特性別統計編〈小売業〉》について、立地環境特性付けにあたっては、1999年までは調査区(調査を実施する際に事前に定める狭い地域範囲)単位の特性付けを行っていたが、2002年調査以降は事業所単位の特性付けに変更している。
9条の会
市職労女性部が69行動を始めて39年。毎月6日か9日で行っていますが、8月は特別な思いを持って毎年9日に実施しています。76年前の8月9日、長崎に投下された原子爆弾の第一目標は小倉でした。もし小倉に落とされていたら、今の自分たちは存在しなかったかもしれません。ナガサキのヒバクシャの方たちに寄り添い、共に核兵器廃絶を願って運動を続けていきたいと思います。
さて、コロナ感染症拡大、8日に閉会したオリンピック、台風の到来という状況の中迎えた今年の8月9日は振替休日。雨の合間をみて鷗外橋横で実施しました。「唯一の戦争被爆国、日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」を訴え、中高生らが署名してくれました。
今年1月には、核兵器禁止条約が発効。しかし、核兵器保有国や核の傘の下にある国々は核抑止力こそが自国の平和を守るために重要だとしてこの条約に参加していません。
国内の世論調査では「日本が核兵器禁止条約に参加すべき」と答えた人が7割を超え、また条約参加を求める地方議会の意見書は593に達し、全国1788の地方議会のうち3割を超えています。
今世界は新型コロナウイルス感染症だけでなく、温暖化や食糧問題など、全世界が力を併せて乗り越えなくてはならない課題がたくさんあります。持続可能な社会を目指すSDGsの取り組みの一番重要な課題は平和です。核抑止論にしがみつくのではなく、核兵器禁止のリーダーシップをとり、様々な課題を世界の国と協力して取り組むことが、核兵器や原発事故の恐ろしさを身をもって体験した日本の取るべき道です。
北九州ぶらり散歩 キタぶら
児童文化科学館
昨年、開館60周年、プラネタリウム設置50周年を迎えた北九州市立児童文化科学館。親子2代3代と訪れた方もいるのではないでしょうか。
周りには、遊具のある「わんぱく広場」、テニスコート、新築の室内プールがあり、とても楽しめます。駐車場も以前より広くなり利用しやすくなっています。
プラネタリウムは1日3回、その日の星空の解説付きで投影されます。訪れた時は「プラネタリウムでチコちゃんに叱られる!」でした。
展示館では、科学に関することを遊びながら学ぶことができます。科学教室や星の観望会も開催されていますので、市のHPか市政だよりをご覧ください。
文化科学館は、来年スペースワールド跡地に新築移転。愛称は「スペースLABO」に決まりました。
幼き頃の思い出がひとつ無くなりますが、最先端技術が体感できる新科学館に今から期待が膨らみます。
開館時間 9時~17時
休館日 月曜日(祝日の場合は翌日)
※残念ながら、福岡県コロナ特別警報発令に伴い、8月31日まで休館となりました。