いのちと健康センター(2021/02/01 No.156)
コロナを問う 2度目の緊急事態宣言 医療崩壊の危機を防ぐために
日本で初感染者確認から1月15日までの1年間の感染者は30万余人。その内の10万人は直近の半月の感染者数、爆発的に感染拡大しています。感染者が入院する病院が見つからなく自宅待機中に医療を受けらないで死亡する、救える命を救えない痛ましい事例も相次いでおり、医療崩壊といえる危機になっています。
遅すぎた緊急事態宣言
「緊急事態宣言は必要ない」と言い続けてきた菅政権も1月7日、ついに1都3県に緊急事態宣言を発出、6日後の13日には福岡県を含む2府5県を追加しました。「遅すぎる」が国民の声です。
宣言の内容は、①飲食店は午後8時までの時短営業②テレワークの推進で出勤者7割削減③不要不急の外出自粛④イベントは収用率50%以下を、2月7日までというもので、政府が何をするかは示しませんでした。
感染の悪循環をどう止めるか
新型コロナウイルスは変異を繰り返しながら、より感染力が強い変異株が他を淘汰するようです。最初は武漢型、次に欧米型、東京・埼玉型、現在は英国型が主流です。ところが昨年9月イギリスで、感染力が従来型より1・7倍のウイルスが発見され、この変異株が英国の主流に、ロックダウンをかけても感染拡大を防げていません。この英国型変異株を水際で食い止めることが大切でした。
ところが菅首相は専門家や野党の意見を聞かず経済重視の「ビジネス往来」の特例を続け、規制強化が遅れました。既に検疫をすり抜けた変異株の市中感染が確認されています。
感染拡大と経済悪化の悪循環を断つ科学的な対策強化が必要です。
無症状者が感染を広げる
コロナは無症状でも感染力があり、感染を広げます。無症状感染者が家庭に帰り、家族へ。さらに保育所や学校、職場と橫へ感染が広がり、別の家庭に入る。そこから病院や老人施設にも広がります。PCR検査を増やし無症状感染者を発見、隔離して感染源を断つことが大切です。
社会的PCR検査の強化を
クラスターの45%は病院や老人施設などの重症リスクを抱えた施設で発生しています。民間も活用して看護師・介護士・保育士などエッセンシャルワーカーの社会的PCR検査を行い施設を守ることが大切です。
保健所の人員強化に全力を
日本の感染者数は欧米の10分の1程です。これは国民が手洗いやマスク着用、移動の自粛を励行した成果です。それにも拘わらず、なぜ医療崩壊状態を招いているのでしょうか。
それは自公政権が長年「行財政改革」を強行し、対策の要の保健所や公的病院を統廃合した結果です。保健所に臨時的な人員強化に全力をあげ、今後の体制の基盤を作る。病院に賃金を支払える支援が必要です。
デジタル庁創設で行政サービスは③
菅政権は、昨年12月「人にやさしいデジタル化」を目指すと基本方針を閣議決定しました。実はこのうたい文句は経団連が11月発表した「誰一人取り残さないデシタルによる社会変革」を踏襲したもの。つまり大企業の成長のためのデシタル化です。
では「誰一人取り残さない」とは何を意味するのでしょうか。基本方針を要約すると行政と企業が蓄積する国民ひとり一人のデーター資源を最大限に活用することが「経済や文化を成長させる。個人データーを活用して多様なサービスを創出すれば「国際競争力の強化にも資する」。だから行政が持つ膨大な個人データを「企業が活用できる様な形」で提供するデータ連携基盤を作る。マイナンバーカードを強制、収入や資産、健康履歴、学歴、消費情報を誰一人取り残さず管理する、管理社会です。
セキュリティー対策は後回し
社会のデジタル化が進むにつれて被害も増え続けています。経済産業省所管の独立行政法人、情報処理推進機構によると、20年度の情報セキュリティー脅威は表の通りです。
情報セキュリティーへの脅威は進化し続けていますが、対策は後回しです。
さらに、最も大切な個人情報保護は、データ管理を国に一元化することで厳しい自治体の条例は国並みに緩める考えです。
つぶやき 菅政治を問う
昨年9月16日、自民党総裁となった菅首相。安部政権の官房長官として7年8ヶ月、記者会見は無表情で原稿を棒読み。「桜をみる会」の国会答弁は安倍前首相118回ウソ、自身もウソ、この1年余りの国会の論戦が総崩れ▼コロナ禍収束後に導入する約束だった菅首相肝いりのGoToトラベルは、収束を待たず実施、感染を広げた。「大手旅行会社の利権が二階幹事長に還流した」と週刊誌が報道する中でも事業を推進、二階氏の利権を守った▼GoToは一部の大会社や業態では大層儲かったがこれがアクセルとなり人の流れが加速。コロナ対策に緩みも出た。11月になると感染者が急拡大した。専門家や野党が「GoToトラベル」停止を求めるが「停止する考えはない」「エビデンスはない」と。原因を調査しないのだからエビデンスは当然不明。「勝負の3週間」と民に我慢を求め、自身はステーキ会食。支持率が急落した。慌てて一時停止▼国会を閉じ、「緊急事態宣言」発出の両院説明の場も欠席。この人、人の話を聞く耳があるのだろうか?学問の自由はよほど邪魔なのだろう、日本学術会議に人事介入した。学者を政権の手足に、が願望か。第3次補正のコロナ対策予算は少しで、国土強靱化云々だ▼PCR検査拡大はそっちのけでは科学的感染症対策「検査・追跡・保護と隔離」は不可能だ。失敗を反省し、学び、初心に帰れ。PCR検査を増やし感染源を断つ。保健所の人的強化。頑張る医療機関を守る支援金を。献身的に働く医療従事者に賃金の保障を。やるべきことは山ほどある。(N生)