いのちと健康センター(2021/03/01 No.157)
特別措置法等の改正について
保健師=「私たちの仕事は罰することではなく、命を救うこと」
特別措置法等の改正について、保健師さんは「私たちの仕事は罰することではなく、命を救うこと」と語ります。私権制限ではなく、医療・保健所等の充実と要請への補償を。
自治労連(談話)
私たちの組合の上部団体の日本自治体労働組合総連合(通称:自治労連)は、今年2月4日に、菅内閣が2月3日に成立させた、新型コロナ感染症に対応する新型インフルエンザ等対策特別措置法(特別措置法)、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)について談話を発表しました。その内容をお知らせします。
●当初、休業や営業時短命令に応じない患者などに罰則を科すとしていたが、世論と野党の反対を受けて行政罰の過料とした。しかし、過料は 50 万円と地方自治体が課すものとしては異例の高額で、懲罰的な制裁だと言わざるをえない。70人を超える憲法研究者有志が30日に声明を発表し、「重大な憲法問題を惹起する」として、社会的害悪が明確で悪質な行為だけを「犯罪」として法律で定めることができる「適正手続主義」(憲法第 31 条)上も問題だと指摘している。罰則による主権制限は、平時からの備えを怠り、公務公共の人員を削減してきた国の責任を免罪し、国民に転嫁するものである。
●さらに、昨年の感染拡大時期に、憲法に緊急事態条項を創設しようとする意見が当時の首相からあがっていた。全国知事会からの要請を口実にしているが、私権制限の前例をつくろうとする政権の思惑が透けて見える。憲法をいかしたコロナ対応をあらためて求めるものである。
●現在、保健所や医療の最前線では、昼夜を問わず職員が一丸となって感染者の対応や治療に全力を尽くしている。保健所では限られた人数で感染者の入院調整や調査業務を行ない、医療現場では医療体制がひっ迫するなかでも懸命に働いている。保健所現場からは、「罰則よりもきちんと対応できるマンパワーをまずは整えるべき。罰則を強化すれば住民は構えてしまう。デメリットしかない」「私たちの仕事は罰することではなく、命を救うこと」との声があがっている。
●罰則規定の導入は、PCR検査の抑制、感染事実のいんぺいにつながることが危惧され、感染拡大防止の妨げになりかねない。政府に、全額国費による検査の抜本拡充、医療機関・保健所への支援の充実、自粛と一体の十分な補償を求める。
●自治労連は、これまで総務省交渉などを通じて保健所等の体制拡充と必要な財源の確保を繰り返し要請してきた。この間の運動が国民世論を広げ、保健師の増員予算が措置された。引き続き、住民の不安に応え、十分な補償、社会的連帯でコロナ対策をすすめ、いのちと健康、くらしを守るため全力をつくすものである。
デジタル庁創設で行政サービスは④
政府は行政機関のデジタル化を急いでいる。政府がデジタル化の要に位置づけるのがマイナンバーカードの普及だ。総務省は、昨年9月から「マイナポイント(今年9月まで延長)」などに多額の税金を投入して交付申請の促進を促進している。
しかし、5年前カード交付を始めて1月現在の交付数は3153万枚、普及率は25%強にとどまっている。
政府は、22年度末までにほぼ全ての国民にカードが行き渡るようにする目標を掲げて、3月から健康保険証としての利用を開始。10月、「マイナポータル」で薬剤情報を閲覧可能にする予定。運転免許証との一体化も進める方針だ。政府は「マイナンバーは任意」と説明してきた。しかし、まるで「強制」と感じさせる。
デジタル法案の中身
2月9日に政府は、デジタル社会形成基本法などの関連6法案を閣議決定、通常国会で成立を狙っている。
法案は、基本方針に国・自治体・事業者の責務などを規定。成長戦略の要として「国及び地方公共団体が保有する情報を民間が活用可能にする」ことで、IT大企業などが行政と国民の個人データを徹底的に利用できるようにして利益追求する、成長戦略を促進しする方向を示している。
9月には省庁や自治体に対する勧告権を有するデジタル庁を発足させ、国や自治体、準公共部門のデシタルシステムを一元化して構築し、デジタル庁がマイナンバーと集めたデータとを紐づけて管理する。国家による管理社会を推進する恐れもある。
自治体の在り方を変える
国・自治体のあり方を変える改訂も含まれている。
システムを一元化管理することで、自治体が住民要求を取り入れて行っている健康保険料の負担軽減や子供の医療費無償化などの独自施策が統制・排除される恐れがある。
また、自治体の個人情報保護条例も全国的な共通ルールを設定し、個人情報保護3法の一元化を盛り込んでいる。これは自治体が条例で独自に築いてきた国よりも厳しく個人情報を保護する条例を廃止させて国並みに緩める恐れもある。
つぶやき 心うきうき春の山野
凍てつくような寒い冬もようやく終わり、季節はいよいよ春がくる。春を迎える準備に私の心がはずむ、先ずは散歩で季節の変化を体で感じる。近所の河原の陽だまりに春を告げる「つくし」を発見。川の流れもなんだかゆるりと感じ、心地よい▼農作業もこの時期になるとやることがいっぱいある。種まきの時期が近い、先ずは土造り。耕作して堆肥を混ぜて畝をづくり、土の温度を上げて播種の準備。大根・キャベツ・トマト・キュウリ・カボチャ、今年はジャガイモも植え付けよう。6月の収穫が楽しみだ。柿やミカンなど果樹の剪定も3月初めまでには終わらせたい▼昔から「春は苦いものを食べよ」といわれる。苦味のある山菜にはミネラルやポリフェノールなどの細胞を活性化させる成分が多く含まれており、冬から春へ、活動する身体造りを始めるこの時期にふさわしい食材だ。菜の花やタラの芽、蕗のとう、ワラビ、ゼンマイなど。菜の花は、ほのかな苦みで栄養価も高く、おひたしなど最高だ▼コロナ禍で一年以上が過ぎた。心身のバランスが崩れてしまいそうなことだらけだ。感染症は人々に新たな生活パターンを押し付けつつある。基本的な社会生活構造の変化も必要だ。なによりも季節の移ろいをゆったり感じられる生活が欲しい▼コロナの収束はなかなか見えないが、季節は確実に暖かくなっている。コロナ対策で後手ゴテの菅政治、国民には「自助」を押し付け、国民の命と暮らしには冷たい。今年は総選挙の年、暖い春風を吹かせる政治へ、頑張り時だ。(N生)