いのちと健康センター(2021/11/01 No.165)
コロナ禍で変わった働き方 大丈夫ですか、その働き方 心と身体の健康が第一
コロナ禍の1年8ヵ月で職場も働き方も変わりました。時差出勤や在宅勤務(テレワーク)、サテライト職場など。職場環境も飛沫防止スクリーンの設置や机の配置間隔などに大きな変化が起きました。「第6波」に備えて、私たちの職場、仕事、健康を考えたコロナ後を見据えて少し考えてみましょう。
コロナ禍での業務の検証と対策
保健所では100時間を超す残業、給付金の支給事務やワクチン接種担当の職場では300時間を超す残業などと多くの問題が起きました。
感染者が下火になった現在の働き方にも変化が起きています。冬場を迎え、インフルエンザの流行と合わせてコロナ感染が今後どうなるかにも注意が必要です。コロナ禍での業務の検証をしっかり行い、今後の対策が必要です。
過労死基準の根拠は
過労死ラインの根拠は1ヵ月の残業時間が45時間や60時間で過労死認定された判例や医学的な研究から週労働時間が55~60時間以上になると脳や心臓疾患のリスクが通常の2~3倍に高まることを総合に考慮して策定。
政府はこのことを踏まえてか、2020年までに「週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とする」という数値目標を立てています。
36協定と過労死ライン
労働基準法は、労働時間は1日8時間・週40時間以内と定めています。
しかし、労使が36協定を結ぶことで、法定の1日8時間・週40時間を越えて月45時間・年360時間の時間外労働が可能になります。
さらに、特別条項を結ぶことで、「時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満」「時間外労働と休日労働の合計が2~6ヵ月の平均で1ヵ月あたり80時間以内」といった過労死ラインぎりぎりまで働くことができるようになります。しかし、これはあくまで臨時の場合に限るものです。
過労死ラインを超えると身体は?
過労死ラインは、一般的な目安で、人によっては基準より早い段階で限界がくることもあります。過労の初期症状を早くつかむことが重要です。
①疲れがとれなくなっている。②記憶力が低下し、アイディアを創出することができなくなる。③機転が利かなくなり、うっかりミスをしてしまうことが多くなる。④イライラや不安が多くなり、人間関係がぎくしゃくし始める。⑤夜になっても仕事を忘れられず、緊張状態が続いてしまう。⑥睡眠の質が悪くなる。こうした症状に気を付けましょう。
サインを見逃さずしっかりフォロー
今回のコロナ対応で「自宅に帰ったら靴が片方なかった」という話も聞かれています。疲労の蓄積が多くなると、次のような症状が現れます。
①全身がだるく、ボーっとすることが多くなる。②食事が楽しくなくなり、食欲がなくなる。③免疫力が低下し、病にかかりやすくなる。④自律神経が乱れ、動悸やめまい、胃腸障害などの体調不良が顕著に感じられる。⑤正常な判断ができなくなり、うつ病や不眠症になり、自殺を考えるようになる。この様な症状を感じたら休みを取りましょう。
管理監督者は過労死サインを見逃さず、しっかりとフォローすることが必要です。しっかりと法律を意識し、職員の健康状態や人員配置・労働環境を整えることが責務です。
人間活動が温暖化の原因
今年のノーベル物理学賞が真鍋淑郎さんに授与されました。真鍋さんらの研究で、「地球の気候とその人類への影響についての土台を築いた」「大気中の二酸化炭素濃度の増加が、どのように地表の気温上昇をもたらすかを証明した。現在の全ての気候変動モデルの礎」としています。真鍋さんらの研究を基礎に、COP26(国連気候変動枠組み条約国会議)で報告も出されました。
気候の現状について
8月6日の第6次報告では、人間活動が温暖化の主な原因である可能性が「極めて高い」が断定できると結論付けられている。●人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている。●人為起源の気候変動は、世界中の全ての地域で、多くの気象及び気候の極端現象に既に影響を及ぼしている。(報告より)
つぶやき
季節の変わり目に思う
夏日が10月中旬まで続いた。異常な暑さから一気に秋。朝夕の気温差も大きく衣服の調節にも気を使う。暑さのみならず3週間も雨が降らず、水やりに苦労した。が、一雨降って大根や白菜たちも一気に元気を取り戻した。収穫が待ちどおしい▼気温が15度を下回ると生物・植物の生態にも変化が現れる。発芽の条件であったり、冬支度の紅葉への準備であったり、気温と日照を生物は敏感に感じながら季節を織りなす▼秋の味覚さんまは我が家の食卓から消えた。サケ漁の時期を迎えたが網にはサケは僅か、ブリばかりとか。魚は海水温で棲家を変えたのだろう、異常気象のせいだ▼それにしても異常だ。百年に一度の豪雨が毎年のように繰り返される。人は寒波や猛暑、季節の変わり目の異常にも慣れさせられ工夫して耐えている▼真鍋さんのノーベル賞受賞は「人為起源の気候変動は、世界中の全ての地域で、多くの気象及び気候の極端現象に既に影響を及ぼしている」からだと。コロナ禍も人のあくなき欲望が乱開発を誘い棲家を失った野生動物が人間社会にコロナウイルスを持ち込んだ▼異常気象に慣れたから放置では済まされない、グレタさんの「若者の未来を奪はないで!」の声が、世界に広がっている。地球滅亡の危機と▼自・公政治は「憲法や国会軽視、私物化と忖度で公文書改ざんや破棄、国民に説明しない」だけではない。地球温暖化対策にも後れている。(N生)