いのちと健康センター(2020/12/01 No.154)
デジタル庁創設で行政サービスは(1)
菅首相は目玉政策として、デジタル庁を来年9月発足、行政サービスのデジタル化を一元的に担う「デジタル庁」つくるとして、その定員500人、うち民間から100人超採用するとしています。
システムの標準化で業務の効率化は図れるかもしれません。
個人情報保護の考えなし
しかし、この構想には基本的人権の基礎要件である個人情報保護に関する考えが稀薄です。
中でも見逃すことが出来ないのは「各自治体の個人情報保護条例が個人データ流通を阻害してる」としていることです。ここには、個人情報保護の考えがなく、情報を政府が一括管理して中国の様な管理社会にされる恐れがあります。また、自治体独自のサービスが切り捨てられられる恐れもあります。要注意です。
デジタル化の狙いは
デシタル化は安倍政権が「自治体戦略2040構想」に盛込み、国や自治体のビックデーターを企業に開示し、公共サービスを市場化・産業化していこうとする狙いです。
2015年の「骨太方針」に盛込みマイナンバー制度を導入。17年には、「IOTやロボット、AI、ビックデータといった先端技術を普及さ
せる」ため「国と地方自治体の財源を使う」としています。
デジタル化は財界の要望
デシタル化には、ビックデータを利用して「公共サービスの産業化」を推進し、さらなる利潤を求めたい財界の意図が見え見えです。
また、自治体のサービスを標準化して、自治体独自で行っている、医療費や学校教育補助などのサービスを切り捨てることが考えられます。
AIでは出来ない公務労働の役割
コロナ禍は、日々窓口での相談や頻発する災害対応、様々な福祉需要など公務に関わる人間労働の役割が重要で、大きいことを教えました。
デジタル化しAIに公務労働させ人員削減や民営化の考えでしょうが、AIにできる仕事は限定的です。
なお、日本の地方と国家公務員は合わせて人口1千人あたり先進国中最低の36.7人で、アメリカは64人、フランスは89.5人です。
国会答弁を支える官僚の働き方
労基法の改正により、労働時間の上限を守る取り組みが始められ、コロナ禍によってテレワークなど新しい仕事様式を取り入れられています。そうした中で、国会答弁を支える官僚の働き方について、「株式会社ワーク・ライフバランス」が、コロナ禍における政府・省庁の働き方に関する実態調査を行って、提言をしています。
「過労死レベル」の実態
回答者の約4割にあたる176人が、「過労死レベル」といわれる「単月100時間」を超える時間外労働をした、と回答をしました。「200時間超え」や「300時間超え」という回答もあり、組織として持続可能ではない働き方に頼っている現状が明らかになっています。
議員対応は面会で
議員対応がある官僚のうち83%が電話やオンラインに移行せず対面での打合せを求められたためテレワークできず、4割が100時間を超える残業、300時間を超えている官僚もいました。また、86%が「議員とのやり取りはFAXだった」と回答しています。
離職を考える人も
国家公務員の労働時間は、労働基準法で守られておらず、過労自殺やメンタル疾患が毎年発生し、若手官僚の7人に1人が離職を考えている状況です。
睡眠不足でストレス蓄積
6時間以上の睡眠を取らないと脳のストレス解消が始まらず、ストレスが日々蓄積していくことが解明されています。睡眠不足は、脳の怒りの発生源である扁桃体を活性化させ、扁桃体の活動を抑制する前頭前野の機能を低下させるので、パワハラ・セクハラ・不祥事等のモラル崩壊の引き金となります。起床から15時間を過ぎた脳は、酒酔い運転と同じくらいの集中力しか保てないため、国家を担う仕事
におけるミスが増加することになります。
官僚の働き方を提言
各省庁を22時~翌朝5時は完全閉庁し、緊急の業務や必要最低限の議員の質問対応等はテレワークで行う体制を作ってください。浮いたコストは、コロナ対策等の国民生活の改善に使ってください。
コロナで問われる 新型インフル・第3波が心配
コロナ感染症の最前線で働く保健所に3月以降6月、8月と多くの兼務辞令や担当部長配置、電話相談を受ける担当やPCR検査検体
搬送の委託、看護師やDrのOBの配置、各区の保健師などの兼務で難局に立ち向かう体制を取りました。くわえて感染医療政策や対策課などを新設して対応しています。9月から11月と小康状態が続いていますが、緊張の連続を強いられています。
残業時間はやっぱり百時間超
3月以降の残業時間は、保健衛生課で個人最多は100時間超、保健所では8月まで最多120時間超が続いています。9月以降の小康状態
下でも長時間の対応が続いています。
感染を広げないための対応
第3波が予想される今後の対応では、感染を広げないための対応が重要です。徹底したPCR検査、疫学調査(陽性者への聞き取りや濃厚触
者行動履歴など)や健康観察(濃厚接触者、健康観察者に毎日電話して体調などの確認や退院後4週間の健康観察)などで保健所では保健師さんをはじめのみなさんの緊迫した状況が続きます。
新型インフルと併せてコロナ第3波の対応、職員が疲弊しないためにも必要な人員配置が求められます。
つぶやき 菅新首相答弁に思う
菅首相の国会初論戦。期待したが都合の悪い質問には答えず憮然として官僚のペーパーを待つ。棒読みする。繰り返す、首相自らの言葉はない。国会論戦は国政の根幹をなす、いち日本国民として恥ずかしく思う
日本学術会議会員6人拒否の核心、拒否理由を問われ「総合的・俯瞰的判断」と。さらに、問われ「一部の大学に偏り、民間、女性、若い人が少ない」「女性や若い人、私大から1人の推薦も拒否、偏りが拡大しているが」「人事に関することはお答えできません」。人事案件の審議に人事だから答弁できないでは議論にならず、国会の行政監視機能は全く機能しない。首相に猛省を求める
国民に「自助」をと言うなら、答弁も「自助」でと思う。我々は日々の暮らしで、いたずらした子供に「ちゃんと説明しなさい」と諭す。国会で官僚の無意味まペーパーを読む答弁は、時間稼ぎで卑劣、見苦しい。子どもの教育にも悪い
安倍政権の7年余、官房長官として官僚の人事権を掌握。自書に「反対する役人は飛ばした」と自慢する。そして忖度政治を作った、A級戦犯だ。メディアには「停波」ほのめかし、圧力。忖度も
海外では「デジタルハンター」という組織があるらしい、政府の改ざんや隠蔽をウェブで公開画像やSNS情報を徹底的に解析して真相に迫る。BBCやニューヨーク・タイムズの精鋭として活躍しているらしい
菅首相のウソと争点そらし、しっかりした取材と報道が欲しいものだ。